【工事現場・タブレット・コスパ】サイネージのPR事例集Part5

デジタルサイネージ コストパフォーマンス PR 事例 集客方法
これまでの事例記事で、PRの概念、集客における捉え方やインフラ整備の価値とデジタルサイネージがもたらす効果についてご紹介してきました。
しかし全てのケースで一様な使い方をしているわけではありません。

不動産仲介店舗・展示会での設置など、集客に着目するものでは短期的に興味を持って使っていただくことによるコンバージョン(CV)の増加に着目していました。
反対に、観光案内板や駐車場に設置したものは、それぞれのお客様に長期的に関わってもらい、リピート顧客となってもらうことがゴールとなっています。

これらは自身が提供するサービスの性質・ビジネスモデルによる違いです。
自身の事業で新たなソリューションを実行するには、社内外どちらでもあっても、PR手段に投じる費用(コスト)と、それによって得られる便益(ベネフィット)を意識することが大切です。

今回は事例のご紹介の前に、そのコストやベネフィットをどのように捉えればよいのかということを考えてみましょう。

 

「LTV?CPA?何それ??」という方必見!
今さら聞けないマーケティング指標

デジタルサイネージ コストパフォーマンス PR LTV CPA

自分の事業を持続、拡大させていくために考えるべきことはたくさんあります。
例をあげると、①現在どれだけの売上を上げているのか②一人の顧客(クライアント)にどれほど利用してもらい、収益に影響しているか③新規のクライアントを得るために投じる広告等の費用などです。

読者のみなさんも、そのような事柄に取り組むうえで、PRや集客を考える過程でこの記事を読んでいるのではないでしょうか。

これらのうち、①を考える場合、売上という項目を平均単価×クライアント数×リピート数に分解できます。

すると、②はあるクライアント利用額となるので、平均単価×リピート数という関係になります。
この部分を継続的な関係性で捉えたものがLTV(Life Time Value)です。

LTVは「顧客生涯価値」とも言われます。
計算方法は様々なものがありますが、単純化すると、
LTV=購入時の平均収益×平均年間購入回数×平均購入年数 です。

具体的に考えてみましょう。
居酒屋で一人当たりの購入金額が2500円、原価が30%だと平均収益は2500×(1-0.3)=1750です。
月2回ほど利用されるとすると年間購入回数は2×12=24。
引っ越しなどを考えて購入年数を5年とします。
そうすると、LTV=1750(円)×24(回)×5(年)=210,000円 となります。

つまり、この居酒屋では「継続的に利用してくれるお客様」が一人増えると、収益が21万円プラスとなるのです。

続いて、③はコスト面になるのですが、これはCPA(Cost Per Action)という指標で考えます。

CPAは「顧客獲得単価」と言われ、サービス利用・製品購入などの成果(コンバージョン、CV)を一つ獲得するためにかかるコストです。
CPA=総コスト(広告宣伝費など)÷コンバージョンの合計 という関係です。

例として、先ほどの居酒屋が自店舗を使うほどお得になるクーポンを配布して、クライアント数が増えて、そのうち30人がお店を繰り返し利用するリピート顧客になったとしましょう。
クーポンの印刷費や割引料などのコストがトータルで150万円かかった場合は、
リピート顧客のCPA=1,500,000(円)÷30(人)=50,000(円) となります。

この計算より、5万円分の広告宣伝費を投じることで、「継続的に利用してくれるお客様」を一人新たに得られるようになるのです。

CPAとLTVを組み合わせると
~集客・設備投資の長期的効果を考えよう~

デジタルサイネージ コストパフォーマンス PR CPA LTV

売上に関係するLTVと費用に関係するCPA。
これら二つの指標は、実は新たな施策を実行するかどうか考える上で大きく関係しています。

一見赤字に見える施策であっても、長期的視野で見た場合やより視野を広げて捉えた場合には、大きなアドバンテージとなることがあるのです。
先ほどの例で考えてみましょう。

お客様が一度居酒屋に来店した時に得られる収益(粗利)は1750円です。
その一人の顧客を獲得するために、5万円分の集客コスト(CPAと同額)を投じると、短期的に見た場合大幅な赤字になってしまいます。

しかし、長期的に考えると実は大きな黒字になるのです。
リピート顧客は一人につき5年間で合計21万円(LTVと同額)分、商品の購入などにより消費を行います。

すなわち、クーポンの施策は一人当たり5万円を消費することにより、21万円の売上増加に繋がるのです。

感覚的には理解し難いことかもしれませんが、それほど長期的に自社のサービスを利用してくれる優良顧客を確保することは大切なのです。
優良顧客を増やすには、①最初からリピート客になりそうな人を囲い込むか②一度使ってくださった人に「また何度も利用しよう」と思ってもらうように働きかけるかが主な方法ですが、②の方が確実でしょう。

Part3の前半でも述べましたが、ユーザーには「潜在顧客→見込顧客→新規顧客→リピート顧客」のような段階があり、初めからすぐに自社のファンになる人はそうそういません。
前者のケースとして考えられるのは、既にお菓子・ビールや衣服・バッグなど、既にブランドを確立しているメーカーが新製品をリリースする場合です。

もちろん、全てのビジネスシーンやPR手法においてリピーター増加に必ず注力しなければならないというわけではないのです。

例えば、不動産仲介業では、Part2でご紹介したビジネスモデルのように、クライアントがリピーターとなることは中々ありません。
新規顧客を増やすことに尽力する必要があるため、潜在顧客→見込顧客にする施策や、見込顧客→新規顧客にするためのアプローチを強化することが大きなウェイトを占めます。

また、展示会における集客活動なども、展示会自体は自社の製品を知ってもらうためのプロモーション・客引きの場ならば、そこでは目を引くための手段や操作しやすさなどを追及する方が効果的でしょう。
見込顧客を集めた後に、自社製品を購入してもらうことや繰り返し利用してもらえるようにアプローチしていけば、LTVは向上していくでしょう。

顧客やステークホルダーに対するもケア大切!
サイネージ活用事例集

前置きが長くなりましたが、今回はクライアントに限らず周囲の関係者と長期的に良い関係を構築していくためにデジタルサイネージを用いた例をご紹介します。

 

1.工事プロジェクトで連携をとるために!工事業者向け屋外情報表示

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工事現場では大規模な建設になるほど、より多くの関係者を巻き込んで工事を進めていきます。

具体的には、発注者から注文を受けたゼネコン(総合請負業)が工事全体の設計や管理を行い、数十種類に及ぶ専門工事業者がそれぞれの専門的技能を活かし、さらに具体的な業務を実行する専門的技能者・労務提供業者も参加します。

数カ月や数年に及ぶプロジェクトでは、月次計画・週ごとの目標、施工の体制・組織構成などを各自が認識しておくことが大切です。
もちろん、多くの関係企業の把握も重要ですが、業者の増減が頻繁に行われることにも目を向けなければなりません。

プロジェクトの初期で測量を行う業者の方は途中から抜けることになるかもしれませんし、ある程度プロジェクトが進んだ段階で新たな専門業者や労働者が必要になるということも多々あります。
また、人材配置だけでなく、施工を実施するには都道府県知事などから建設の許可を取得し、工事許可証を掲示する必要もあるのです。

このように、様々な人や会社、情報が入れ替わりしながら建設計画が進められる工事現場では、情報共有の体制が重要になります。

多くの場合、掲示板等を利用しながら紙媒体により行っていましたが、どの紙が特に重要なものか・不要となった掲示物はあるかといったことが分かりにくいです。
万が一、建設許可証などの重要書類が紛失してしまった場合は一大事です。

そのような状況でデジタルサイネージを導入し、常に情報を提供する環境を整備しました。

ネットワークに接続して事業所のパソコンと連携しながら、事業所で更新した情報をサイネージでもアップデートさせています。
新しい情報が入ったら更新・周知をすることで、各専門業者や職人の方々が工事の業務に専念できるようになり、またゼネコンなど管理者の方々も懸念点をなくして、業務に注力できるようになります。

ソフトウェアのカスタマイズを行うことで、情報発信の見せ方を変えることや、天気・ニュースなどの外部コンテンツの配信なども可能になります。

 

2.近隣住人の理解を得るために!地域向け屋内情報発信

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工事の進行においては、工事をする人々を統率することだけでなく、近隣住民の方々との関係性構築もカギとなります。

どのような建物ができるのか・騒音や振動の程度と時間帯・車両の出入り等による交通への影響などをお知らせする必要があります。

従来ではパンフレットの配布や説明会の開催などを行っていたようですが、関心のある住民の方々すべてに行き届くとは限りません。
そこで、建設現場付近の屋内にデジタルサイネージを設置して、利用者の方が自分から工事内容等を調べられるようにしました。

この事例では、上記画像の下側の20型程のディスプレイをタッチすることで、上側にあるディスプレイの表示内容を変更させています。

閲覧できるコンテンツとして、作業内容や地域の方へのお知らせなど工事に直接関係するもの以外も追加できます。
自分が住んでいる街がどのように変化しているのかといったことを、ある定点で過去から現在まで取られた写真を掲載することなども利用者の方々の満足度向上につながるかもしれません。

近隣の方にとっては動画やイメージ図の形で分かりやすく、モニター表示が夜間の明かりとしても機能することが利点となりますし、
工事関係者にも、住民への訴求力の向上や、デジタルサイネージのような最新技術を提供することによるイメージアップも見込まれます。

 

3.使用範囲は無限大!?お手軽利用のマイタッチタブ

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これまでの事例ではテレビサイズやそれ以上の大型・中型のディスプレイを中心にご紹介してきましたが、androidタブレットを利用した小型のタッチサイネージもあります。

「マイタッチタブ」と呼ばれ、タブレット端末に合わせて簡単に操作できる構造になっています。

居酒屋で注文をする際に置いてあるタブレットや、携帯の契約をする際に店員の方が利用しているタブレット端末をイメージすると分かりやすいでしょう。
デパートやショッピングモールでは、ラウンダーの方が店舗を見回りをして更新をする際に利用するのも良いかもしれません。

コンテンツ配信は複数台をシステムから一括管理することができて、Wi-Fiによるインターネット更新も対応しています。
タブレットにダウンロードしてあるコンテンツは利用できるので、ネットに未接続の状態でも回線を気にせずに使うことができます。

その他にも、化粧品メーカーのマーケティング調査や、カー用品店でお客様の状況を踏まえてニーズに適した商品を紹介することなど、様々な用途が考えられるでしょう。

 

まとめ

今回の事例は工事現場の対内・対外向けや、小型のマイタッチタブをご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。

これまで述べたように、何かのPR手法を行う場合には実行するコストと得られるベネフィットを意識することは大切ですが、加えて範囲や目的を意識することが大切です。
売上に直結しなくとも、お客様やその他ステークホルダーの信頼を獲得することが長期的な収益に影響することもしばしばあります。

今回取り上げた事例も、業務改善やトラブル解消、ユーザーの満足度上場など間接的な影響ではありながらも、長期的な生産性向上や売上の増加に寄与していくものです。

ただ目の前に浮かんだ施策をやりやすいものから実施するのでなく、的を絞って行うことが、長期的な目線で見たときに高い効果を見込めるものであることが多いです。

自分属する企業や団体の集客・イメージアップなど、PR(Public Relations)をする際に、「サービスの利用者や働く人々がどのようになってほしいか」を考えると、ツールを利用した具体的な施策が見えてくるでしょう。

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