顧客ニーズの実現に!デジタルサイネージ最新活用事例~コンビニ編~

日本フランチャイズチェーン協会によると、コンビニエンスストアの2017年10月末の店舗数は約5万5千店(主要8社)。
その数は、郵便局の約2.3倍 、また、競合であるスーパーマーケットの約2.7倍 にも上ります。

コンビニが提供するサービスは非常に多岐にわたります。
食品・日用品類の販売に留まらず、宅配便受付、公共料金払込、銀行ATM、各種チケットの予約・販売、コピー、写真プリントなど、顧客の求めに応じて進化してきました。
社会的なインフラと呼ばれるようになって久しい存在です。

そんなコンビニでは、他の小売業と同様にデジタルサイネージが活用されています
今回は、コンビニにおけるデジタルサイネージの活用事例をお伝えします。

 

デジタルサイネージがコンビニで効果を発揮するために最適な設置場所とは?

デジタルサイネージがよりしっかりと顧客の視線を集めるには、「待ち時間」の有無と、設置する場所がポイントになります。

デジタルサイネージでは何かの待ち時間などで、人々が一定時間同じ場所に留まることが、視聴率や視聴時間のアップにつながります。
病院の待合室や百貨店のエレベーターホール、電車内などに多くのデジタルサイネージが設置してあるのはそのためです。
しかしコンビニでの買い物では、意外と「待つ」時間はありません。
何を買うか、どんなサービスを利用するかある程度決めている顧客が多く、特に朝の時間帯などは目的のものが手に入れば長居は無用とばかりにさっさと店を出ていってしまうものです。

とある調査によると、顧客の8割はコンビニでの滞在時間が5分以内だそうです。
また、時計メーカーが実施した待ち時間に関するアンケートでは、コンビニでのレジ待ちはたったの2分で6割以上の人がイライラし始めてしまうそうです。
この数字をみると、多くの人がコンビニではいかに早く用事をすませたいのか、を感じることができます。

そんなコンビニで多少なりとも待ち時間が発生するのは、お弁当を温めている時や、コーヒーマシンを利用している時などでしょう。
デジタルサイネージを設置するならば、それらのサービスが実施されているレジ周辺が適しているといえます。

●コンビニのデジタルサイネージ実例1_POSレジのデジタルサイネージ

デジタルサイネージ コンビニ POSレジ 活用事例

では実際コンビニでは、デジタルサイネージはどのような場所で活躍しているのでしょうか?
コンビニエンスストアで今もっとも活躍しているデジタルサイネージはPOSレジと一体化したディスプレイでしょう。コンビニのブランドを問わず、多くの店舗で見かけます。

レジには、12~15型程度のディスプレイが顧客に向くようにレジ本体に付いており、商品の会計情報だけでなく、コンビニの新商品・サービスのアピールといった販促目的の情報や、他社の広告などが表示されています。
買い物をする顧客はレジでの会計の際に、自然な流れで必ず画面を見ることになります。
例えば、販促目的では「ホットスナック〇〇円以上で△△プレゼント!」という直接的でわかりやすいメッセージを会計中の顧客に伝え、ついで買いを促しているのです。

広告目的としては、大手企業が全国一律に同じ内容でプロモーションをかけたり、大学内のコンビニでは学生に向けて自動車免許取得の合宿の広告を表示するなど、ターゲットの属性に合わせたピンポイントなプロモーションをかけることができます
ひとつの画面を切り替えることができるという、メディアとしてのデジタルサイネージの特徴を生かした広告運用を行うことができると言えるでしょう。

公共料金の収納サービス時は画面に「確認」ボタンが表示され、顧客本人が合計金額のボタンをタッチすることで確認してもらうという、トラブル防止を目的とした利用もされています。
さらに、画面は明るく視認性が良いため、レジ待ちをしている人にも訴求することが可能です。

 

●コンビニのデジタルサイネージ実例2_ATMの上部

デジタルサイネージ コンビニ ATM 活用事例

1999年にコンビニにATMが初登場して以来、コンビニでATMを利用することは今やすっかり当たり前です。
そして、最新のATM端末の上部にはデジタルサイネージが搭載されており、銀行の情報や映画の予告編が動画で流れています。

コンテンツはオンラインで配信され、複数の端末に一律の広告を表示したり、1台単位で地域情報や災害情報を表示するなど、自由度が高い運用が可能です。
もちろんATMの操作画面もタッチパネル式のディスプレイです。

 

●コンビニのデジタルサイネージ実例3_マルチキオスク端末

デジタルサイネージ コンビニ マルチ端末 活用事例

コンビニには、コピーなどにとどまらず、各種チケットの予約・販売、各種証明書の取得といった数多くの行政サービスを受けることができる、マルチキオスク端末(多機能端末)が設置されています。

端末についているディスプレイはタッチパネル式で、多数の選択肢のなかから、案内に沿って顧客自らが情報を探します。
この端末が担う業務を人の手で行っていたら、とてもお店は回らないでしょう。

様々な機能の搭載・管理して、業務改善に大きな効果を発揮するのがデジタルサイネージの強みです。

最近は、楽譜や地図、過去の新聞などの情報を販売し、端末からプリントアウトできるという個性的なサービスも登場しています

 

デジタルサイネージのターゲットは顧客だけではない!?

広告を目的としたデジタルサイネージが訴求する相手は顧客だけではなく、コンビニで働くパート・アルバイトスタッフもターゲットになっているといえます。
店舗数からコンビニで働くスタッフの数を単純に推計するだけでも、数十万人となります。

 

●各コンビニの最新動向

今年、セブン-イレブン 、ローソン、ファミリーマートのコンビニ大手3社は、足並みをそろえるかのようにPOSレジを刷新しました。
主な目的は二つあり、一つ目は高齢者や訪日外国人にもわかりやすい表示の実現、もう一つは複雑なレジ業務を簡略化させスタッフの負担を軽減するためです。

●レジをディスプレイ化 ローソン

デジタルサイネージ コンビニ POレジ 活用事例 ディスプレイ

特に、ローソンが新たに導入したレジは、顧客側だけではなくスタッフ側にある操作部分もすべてタッチパネル式のディスプレイとなっています。
2018年6月以降は、外国人スタッフのオペレーション向上のために、操作画面が多言語対応される予定です。レジをディスプレイ化することで、レジの省スペースにも貢献しています。

ローソンは、デジタルサイネージに関して、過去に苦い経験をしています。
デジタルサイネージ黎明期の2010年に、「東京メディア」と銘打ったデジタルサイネージを店舗の外から見える位置に設置し、広告メディアとしての導入を大々的に進めました。
しかし、時期が早かったのか、見込みが甘かったのか、わずか2年あまりでの撤退となりました。

 

●全店舗に天吊りタイプのデジタルサイネージを導入 ミニストップ

デジタルサイネージ コンビニ 天吊りディスプレイ 活用事例 ミニストップ

業界4位のミニストップも今年、「コンビニエンスストア初の全国展開」「流通業 国内最多画面数へ」という触れ込みで、全店舗(約2200店)にデジタルサイネージを導入しました。
32インチのディスプレイを店舗全体から見通せる、レジ後方の天井メニューボード近くに設置しました。
来店した顧客をはじめ、レジ待ちやフード提供待ち、コーヒー抽出待ちなどの顧客に対する訴求を狙っているようです

 

●駅という地の利を生かした展開 NewDays

デジタルサイネージ コンビニ 駅地下 活用事例

駅ナカのコンビニは地の利を生かした展開を見せています。
JR東日本の駅構内に多くの店舗を構える「NewDays」では、駅という他のコンビニとは異なる立地から、店舗の外にディスプレイを設置しています。

駅は、電車を待つ時間や人と待ち合わせる時間など、視聴に有効な待ち時間が多く発生するデジタルサイネージ向きの場所といえます
これまでの33台から一気にその規模を拡大し、2017年度内には100駅200台体制の構築を目指しているとのことです。
各コンビニのデジタルサイネージに関わる動きを見ても、デジタルサイネージそのものの市場が成熟してきていることが伺えます。

まとめ

コンビニは顧客ニーズに合わせ、柔軟にサービスの内容を変化させてきました。
冒頭にも触れたように、コンビニは従来の「小売店」のイメージを超えた多種多様なサービスを提供しています。

今後も、シェア自転車、コインランドリーの併設、イートインコーナーの拡充、AI導入、無人レジなど、コンビニ各社は次なる成長のための新たな一手を常に模索しています。
コインランドリーやイートインコーナーができれば、顧客の滞留時間は長くなるでしょう。

AI導入や無人レジではタッチパネル式のディスプレイが活躍するに違いありません。
コンビニの変化にあわせ、デジタルサイネージも様々なかたちで活用されていくでしょう。

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