デジタルサイネージはいつから始まった?歴史や仕組み、展望を解説

デジタルサイネージ 歴史 仕組み 将来性 予測

最近、街を歩けば必ずといってよいほどデジタルサイネージを見かけるようになりました。

電車に乗れば、ドアの上にある画面に行き先が示され、
地下通路を通ると、立ち並ぶ柱に背丈ほどの大画面のディスプレイがズラリと並び、近隣のイベント情報が流れ、
百貨店に到着すると、アパレルショップの店頭に、おすすめの季節のコーディネートが表示されているといった具合です。

ディスプレイの設置場所や、その大きさに違いはありますが、これらはすべて「デジタルサイネージ」と呼ばれています。

デジタルサイネージは、従来の広告メディアに代わるものとして、あるいはまったく新しいメディアとして活躍の場が拡大しています

2020年の東京オリンピック・パラリンピックにおいては、訪日外国人に対する外国語での情報提供ツールなどとして活躍が期待されており、政府も具体的なアクションプランを決めて、その機能の拡大や技術の標準化などに力を注いでいます。

今回は、そんなデジタルサイネージの歴史や基本的な仕組み、今後の展望などについて説明します。

 

デジタルサイネージとは?

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●デジタルサイネージの定義とは?これまでのメディアとどう違う?

現在では、お店の店頭、店内、商品棚、電車の中や駅、建物の壁面からトイレの個室の中に至るまで、街中に大小さまざまなディスプレイが設置されています。
ただ道を歩いているだけでも商品の宣伝や映画の予告、ミュージックビデオ、天気予報、ニュースといった多種多様な情報が目に飛び込んできます。

このようにディスプレイなどを活用した新しいメディアを総称する言葉が「デジタルサイネージ」です。

デジタルサイネージは「電子看板」と訳されることもありますが、いわゆる宣伝目的の看板という役割だけにはとどまらず、その定義ははっきりとしていません。
前述のとおり、設置場所やディスプレイのサイズに決まりや制限はなく、ディスプレイを使わないプロジェクションマッピングといったプロジェクターによる投影も、デジタルサイネージの枠組みとして捉えられています。

表示するコンテンツも、静止画があれば動画もあり、その内容も広告だけではなく店舗におけるフロア案内や病院などでの受付番号表示など多岐に渡ります。
つまり、これまでの看板やポスター、テレビといった各種メディアの特徴を併せ持ったメディアであり、それらに代わって活用されています。

ネットワークを介して繋げることができるため、
①多数のディスプレイの表示内容を遠隔から一括設定することが可能であること
②ターゲットに合わせて細かくコンテンツの表示プランを変更できること
③静止画や動画など表現の幅が豊かであること
などがこれまでのメディアにはない新しい特徴であり、デジタルサイネージの強みです。

ポスターや中吊り広告と比較すると、紙の媒体に必要な印刷や運搬、貼り替えなどの手間が不要であり、人件費などコストも抑えられます

 

デジタルサイネージの基本的な仕組み

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デジタルサイネージは、どのような仕組みで動いているのでしょうか?
ここでは、デジタルサイネージの基本的な仕組みをご紹介します。

・スタンドアロン型
PCで作成した、画像や動画などのコンテンツを、ディスプレイに接続した再生装置により表示する方法です。

コンテンツは、SDカードなどの外部記憶媒体に保存し、再生装置に直接接続します。
ネットワークに接続していないので、機器があればすぐ稼働できます。
オフィス内に設置して、社内インフォメーションに利用したり、単独の小売店などでの運用に適しています。

・ネットワーク型
インターネットや無線LANといった、ネットワーク技術を活用してデジタルサイネージにコンテンツを配信して表示させる方法です。
複数のデジタルサイネージの表示内容を遠くにいながら一括で管理することが可能です。
デジタルサイネージのある場所に行かなくても表示内容を変更することができるため、チェーン展開しているお店などに向いています。

・インタラクティブ型
インタラクティブ(双方向)型のデジタルサイネージはタッチパネル式のディスプレイなどを利用し、利用者の操作により表示される内容が切り替わります。
より詳細な情報を利用者に伝えることができるため、例えば似たような種類がたくさんある商品のそれぞれの違いを理解してもらうために活用できます。

 

デジタルサイネージの歴史

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次はデジタルサイネージの歴史について簡単にご紹介します。

デジタルサイネージが初めて登場したのは、今から30~40年前の1970年代後半~1980年代です。
アメリカのアパレルショップが店頭に置いたテレビでファッションショーの映像を流したことが始まりと言われています。

1999年には、ラスベガスに大規模なデジタルサイネージが登場し、これが大都市における初期の導入例として有名です。

2000年頃には、今では当たり前となった無線ネットワークが登場します。

2007年にiPhoneが発売され、スマホをはじめとした小型のディスプレイが爆発的に普及する要因となりました。

日本での歴史を見てみましょう。1980年に、大型ビジョンの草分け的存在である「新宿アルタビジョン」が登場します。当時は「デジタルサイネージ」という言葉はなく、「ビデオサイン」などと呼ばれていました。大型ビジョンは現在では代表的なデジタルサイネージ事例のひとつとなっています。

今日的な意味でのデジタルサイネージの初期の事例として有名なのは、JR東日本による「トレインチャンネル」です。
2002年の山手線導入を皮切りに、2006年の中央線、2007年の京浜東北線へと順調にその数を増やしていきました。
電車内のドア上部に付いている2つ並んだディスプレイは、今やすっかりお馴染みの存在です。

2007年頃は「デジタルサイネージ元年」と表現され、市場の大きな拡大が期待されていました。しかし、期待されていたほどの成長は見られず、2011年の東日本大震災では、デジタルサイネージが自粛ムードの中、電源を切られる など、公共の場にあるメディアとしての立場を確立することは容易ではありませんでした。

しかし、ここ数年でデジタルサイネージ市場は大きな飛躍を遂げ、街なかのあらゆる場所でデジタルサイネージを見かけるようになりました。
それを後押しした要因のひとつが、2013年に決定した「東京オリンピック・パラリンピックの開催」です。

国際的なイベントである東京オリンピック・パラリンピックにおいて、デジタルサイネージは、多言語対応ツールや緊急時の情報配信ツールとしての役割を期待されています

総務省の資料によると、2012年と2018年のデジタルサイネージの市場規模の差は約9倍にもなると予測されています。

デジタルサイネージの歴史を表にまとめると、以下のようになります。

年代 アメリカ 日本
1970年代後半~1980年代  デジタルサイネージが初めて登場  「新宿アルタビジョン」が登場
2000年前後 ラスベガスに大規模なサイネージが登場

無線ネットワーク登場

 「トレインチャンネル」山手線に導入
2007年前後  iPhone発売、小型ディスプレイの普及  中央線、京浜東北線に導入
2011年  小売・流通業での利用増加  東日本大震災の影響で縮小
2013年  カシオなど新規参入企業増加  東京オリパラ開催で市場拡大
 2018年頃
(予測)
 2012年の9倍ほどの市場規模になると予想

また、デジタルサイネージの発展には、ディスプレイや通信といった技術の発展もが密接に関わっています。
「インターネット」という言葉が流行語として選ばれた1995年からの十数年の間に、通信技術は瞬く間に発展し、大容量のデータのやりとりがストレスなく行えるようになりました。また、2003年の地上デジタル放送開始前後では、テレビのディスプレイの大型化や薄型化が進みました。

 

デジタルサイネージの今後

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デジタルサイネージの活躍の場は、今後も拡大することが予想されています。

その大きな要因のひとつが、2020年の東京オリンピック・パラリンピックです。
政府は同大会を、日本のICT技術を世界に発信するまたとない機会としてとらえ、ICT化促進のために、具体的なアクションプランを策定しています。
そのなかでデジタルサイネージは、次の3つの役割を期待されています。

    ・緊急時の災害情報の一斉送信
    ・スマホとの連携による、属性に応じた情報入手
    ・公共性の高い場所でのパブリックビューイング

「スマホとの連携による、属性に応じた情報入手」とは、例えば日本を訪れた外国人が、デジタルサイネージにスマホをかざすことで、自国の言語で観光情報などを得るなど、多言語対応ができるというイメージです。

そして、オリンピック開催時にさまざまな場所で実施されるパブリックビューイング、あるいは災害が起こった際の避難情報の伝達にもデジタルサイネージの活用が想定されているのです。

さらに、AI(人工知能)やAR(拡張現実)といった新たな技術を取り入れるなど、デジタルサイネージは常に変化を続けています

 

まとめ

デジタルサイネージの歴史と、今後の展望に関してご紹介しました。

デジタルサイネージの展開において2020年の東京オリンピック・パラリンピックが、大きな節目となることはまちがいないでしょう。
今後、新たな技術がどんどん取り込まれ、デジタルサイネージがどのように変化してゆくのか楽しみです。

ターゲットの特性をしっかりと分析し、適切な設置場所やディスプレイサイズ、コンテンツを放映することで、従来の広告媒体では得られないような訴求力を持たせることができるでしょう。

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